診療科長ご挨拶
平成30年4月より杏林大学医学部付属病院循環器内科の診療科長を仰せつかりました。循環器疾患は緊急性を要することが多く、年々増加しています。高度救命救急センター、救急総合診療科と密に連携をとりながら、先進治療を常に提供できる基幹病院として治療にあたるよう医局員全員で日々努力しております。
循環器内科で取り扱う疾患は、冠動脈疾患、末梢血管疾患、肺高血圧症、不整脈、心不全、弁膜症など幅が広くどの領域も専門的な知識・技術が必要です。正確な診断は適切な治療に欠かせないものであり、エコー、核医学などの諸検査を行い専門医が診断しております。各分野の専門チーム(虚血、不整脈、肺高血圧、非侵襲)を編成し治療にあたり、指導者資格を持つ専門医がチームの指導をしています。非常に高い医療レベルを維持していると自負しております。遠方からも多くの患者さん来院され治療を受けておられます。
循環器医療は近年急激に進歩を遂げており、低侵襲で治療できるようになってきています。当科では、積極的に国際治験、共同試験に参加し国際的なレベルを保つとともに、当院からの新たな情報発信に努めております。
各チームの治療内容
1)
虚血チーム 急性冠症候群に対する緊急カテーテル治療は年間150例以上あり関東でトップクラスです。当院は多摩地区の循環器急性期医療の拠点病院の中心として重要な役割を担っています。また下腿閉塞性動脈硬化症に対するカテーテル治療は年間100例を超えますが、重症下肢虚血が症例の大半を占めております。形成外科と連携し血行再建から創傷治療まで一貫した高度な集約的治療を行います。
2)
不整脈チーム 種々の不整脈に対するカテーテルアブレーション、ペースメーカー、植え込み型除細動器、心臓再同期療法、リードレスペースメーカー、ヒス束ペーシングなどの最新治療を行っております。特に植え込み型除細動器の頻回作動に対するカテーテル治療では、全国から多くの患者さんが紹介され、心外膜アプローチを含む根治に向けた治療を行います。デバイスの遠隔モニタリングは、専門医師、デバイス専任看護師、臨床工学技士からなるチームで管理しております。チーム医療のモデルとして全国から頻繁に見学要請があります。さらに、デバイス植え込みやアブレーション手技中の患者さんの医療被曝を最小限に抑えるMediGuideシステムを日本で唯一備えており日々の治療に役立てております。
3)
肺循環チーム 稀少疾患であり、かつ難病特定疾患である肺動脈性肺高血圧症(PAH)及び慢性血栓塞栓性肺高血圧症を中心に診療しております。患者数は国内上位3施設に入っており、関東甲信越から毎年当院に多くの症例が紹介されております。
4)
非侵襲・心リハビリチーム 当院では年間約10,000件の心エコー検査を施行し、急性心筋梗塞、狭心症、心不全、弁膜症、心筋症、先天性心疾患、肺血栓塞栓症、肺高血圧症、大動脈瘤などの診断と治療効果評価を行っております。一般的な心エコー検査のほか、経食道心エコー、運動および薬物負荷心エコー、核医学、心リハビリを行っております。正確に丁寧な診断、そして治療の最適化のための検査を行います。また、心不全・虚血などの心疾患患者さんのリハビリテーションをリハビリテーション科とともに進めています。安心して退院していただけるようリハビリを進めております。
杏林大学医学部循環器内科学教授
循環器内科診療科長
副島 京子